【カラープリント⑨】自宅暗室手帳 自家現像した異なるカラーネガフィルムを、引き伸ばし機で多重露光を行いプリントする方法と作例・感じた事


何かをやってみようと思った時、いろいろなことを想像しますが、実際やってみると最初に想像していたのと違う結果になることはよくあることかと思います。

今回は結果的にそういうお話。笑


多重露光について

多重露光については諸説多々ありますんで、各々調べていただいて。

ここでは困った時のWikipediaさんの「多重露光」のページをのせておきますので、興味のある方は目を通してみて下さい。

まぁ簡単にいうと、同じフィルムのコマに2つ以上の像を露光させる。

そんな感じ。

昨今のデジタルカメラや画像編集ソフト等使えば、簡単に出来たりもするわけですが。

なんせ「アナログなの、わたし。」笑

ということで、フィルムでの多重露光はやったことはありましたが、プリントでの多重露光を今回やってみようと思います。

前述しましたが、少し詳しく書きますと、フィルムで多重露光をするのであれば、同じフィルムの同じコマ部分に任意の回数撮影することでした。

そして、今回私がやっていくのは、プリント段階での多重露光です。

これもざっくり説明すると、1枚の印画紙に現像後のフィルムの異なるコマを焼き付けてみようという算段です。

色味や露光時間の関係上、同じロットのフィルムならともかく、違うカメラで撮った異なるロットのフィルムのコマでも可能なら、より楽しめる予感。

できるとわかれば、これまで単体ではプリントまで到らなかったコマも、再度選択の余地に加えて、絵作りできるかなと考えまして。

プリント段階で多重露光する方法

私の考える方法としては2つ。

  1. 任意で選択したコマのフィルム自体を重ねて露光しプリント現像する方法
  2. 同じ印画紙に任意で選択したコマを別々に露光しプリント現像する方法

任意で選択したコマのフィルム自体を重ねて露光しプリント現像する方法

多重露光したいコマを選び、文字通りそれらのフィルムを重ねて引き伸ばし機のネガキャリアにセットし露光する。

この方法だと、いくつか乗り越えなければならない問題があります。

まぁざっと。

  • 露光時間の問題

フィルムを重ねた分の露光時間の調整

また、それぞれのコマの露光時間が異なる場合はどうする?

  • 色味(カラーダイヤル)の問題

異なるフィルムになると、カラーダイヤルの数値も基本的に異なります。

色味をどう調節していくか。

かつ、カラーダイヤルを調節した後の露光時間との兼ね合いも出てきます。

ざっと挙げただけでこれくらいはあります。

他にもあるとは思いますが、ちょっと現実的ではなさそうなので、考えるのをやめます。笑

同じ印画紙に任意で選択したコマを別々に露光しプリント現像するやり方

これも簡単に。

任意で選択したAのコマとBのコマを別々に露光する。

ただそれだけの事。

順序を書きますと...

Aのコマを引き伸ばし機のネガキャリアにセットし、カラーダイヤルと露光時間を設定し露光

一度印画紙を真っ暗なところに収納する

Bのコマを引き伸ばし機のネガキャリアにセットし、カラーダイヤルと露光時間を設定し、Aのコマを露光した印画紙に再度露光

プリント現像処理

って流れになります。

ということで、ちょっと手間はかかりますが、色味や露光時間のことを考えると2の方法が現実的かな。

注意事項としては、印画紙の向きに気をつけること。

どういうことかと申しますと...

もし、やってみよう!となったら、きっと、自分の考える重ね方があるはずです。

このやり方では、1コマ目を露光した後、一度印画紙をしまうのですが、焼き付けた1コマ目の像の向きを把握しておく必要があります。

そして、2コマ目の焼き付けたい像の向きも任意の向きに揃えたことを確認し露光します。

難しいといったらそこくらいではないかな。

作例

現像処理に関しては以前の記事に書いています。

拙い記事ではありますが、目を通して頂けると幸いです。

アナログプリントの作例見本
【カラープリント①】 自家プリントにおける機材・薬品の紹介、プリント手順と作例

水仙が咲き、菜の花が咲き、そして桜が咲き始めました。 熊本にも高森峠千本桜、市房ダム、立岡自然公園な ...

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今回、多重露光するコマはこの2コマ。

olympus om-1 / olympus om-system zuiko mc auto-s 50 mm f1.4 / Fuji superia premium 400

Pentax mz-5 /smc pentax-m 50mm f1.7 /fuji superia x-tra 400

A 露光時間 1.4秒 f8 C:0 M:40 Y:60

B 露光時間 1秒 f8 C:0 M:40 Y:60

とりあえず、両方プリントしてみました。

偶然にもカラーダイヤルの数値が同じに。

コスモスの写真が、若干マゼンタとイエローが強いかなと思いながら、まぁ良しとしいうことでカラーダイヤルはそのままいきます。

露光時間は、2回露光することで黒く潰れてしまうのは嫌なのでその辺も考慮して、少し短めの露光時間で。

一応、影の写真をA、コスモスの写真をB、私自身がわかりやすいように勝手に決めちゃいました。

左  露光時間 A:0.4秒 B:0.4秒 f8 C:0 M:40 Y:60     中  露光時間 A:0.6秒 B:0.6秒 f8 C:0 M:40 Y:60    右  露光時間 A:1秒 B:0.8秒 f8 C:0 M:40 Y:60

まとめ

最初、露光時間を短めでプリントしてみたら、淡々でなんともやさしいというか若干飛んでるような仕上がりになりました。

最後は濃いめにしてみましたが、全体的に色が黒く潰れ気味。

色味に関して言えば、AとB両方ともまぁニュートラルな色になってるんではないかといった印象。

この中から1枚選ぶとすれば、私的には左かなぁ。

余談

というかここからが本番みたいになっちゃうんですけど。

ちなみに、、、

一応、試しにフィルムを重ねてのプリントもやってみました。

考えるのはやめたので、とりあえず行動に。

微調整しながら着実にやってみようと思います。

もし、こちらのやり方で仕上がりが同程度でプリントできるようなら、こちらの方法が断然いいと思います。

なにより簡単ですし、手間も省けるし効率もいいかなと思いますんで。

左  露光時間 3秒 f8 C:0 M:15 Y:25     中  露光時間 5秒 f8 C:0 M:15 Y:25    右 露光時間 8秒 f8 C:0 M:15 Y:25

同程度なんてことはありませんでした。

私的には、断然こちらの方が好き!という結果に。

今回、カラーダイヤルの数値としてはまぁ近しい2コマを重ねてやってみました。

実際仕上がったプリントは、想像してたのと違うテイストになりました。

濃淡はありますが、左がAのコマとBのコマを別々に露光した写真。

右がフィルムを重ねて露光した写真。

カラーダイヤルの数値が近い2コマなので、これをニュートラルな色味に寄せていくことは、今回の場合だと可能だと思います。

ですが、例えばカラーダイヤルの数値が全く異なるフィルムのコマを重ねて露光し、両方ニュートラルな色味にしていくというのはちと難しいのではないかと思います。

どちらかのコマもしくはどちらとものコマの色味が何色かに転ぶんじゃないかなと。

「やってみないと分からない。」

まぁ逆にその方が面白いというか趣深い写真になる可能性はあるなと今回プリントしてみて感じました。

個人的に、結構この色味も気に入ってて。

緑味が強いと、なんか生命の強さみたいなのを感じますから。

もう少し優しい感じの雰囲気を出したいと思ったら、それこそニュートラルに近づけて少し明るめにプリントしようかなと想像してます。

まぁ必ずしもニュートラルが正解ではないということで。

その時は、また

「想像して、創造する。」



 

 

  • この記事を書いた人

けーすみ

フィルムカメラ・フィルム写真が好きで、自宅に暗室を作りフィルム現像からプリントまでやっています。 カメラ・レンズや自宅暗室などの作例をメインに載せています。 とにかく「撮ってみて、焼いてみて。」の試行錯誤の日々です。 epilogとは「詩歌・演劇などの終わりの部分のこと。」を表す言葉で、一種の終活のように私自身がこれまで撮った写真や書いた詩、感じたモノや触れたコトに対する思いを、ブログとして綴っていこうと考えてepilog.というタイトルにしました。 私のやってきたこと・今やっていること・これからやっていくことが読者の方に少しでも有益となれば幸いです。

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