【カラープリント①】 自家プリントにおける機材・薬品の紹介、プリント手順と作例

水仙が咲き、菜の花が咲き、そして桜が咲き始めました。

熊本にも高森峠千本桜、市房ダム、立岡自然公園など、桜の名所といわれる場所がまだまだたくさんあります。

ここ数年は遠方の桜を見に行けてないので、久しぶりに出かけたくなりますね。

そんな中で今回は以前お邪魔した一心行の大桜の写真を自宅でプリントしてみたいと思います。

まだ自宅暗室が無かった頃なので、現像は町の写真屋さんにお願いしました。

その時に同時プリントもお願いしたので、町の写真屋さんと自宅暗室でのプリントを比較してみようと思います。

使用する機材

引き伸ばし機 LUCKY QE69

私が所有している引き伸ばし機については、以前の記事で仕様など書いていますので、興味のある方はそちらを見て頂けたら幸いです。

自宅暗室手帖 暗室必須アイテム 引き伸ばし機について

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引き伸ばしレンズ Rodenstock YSARON 50mm f3.5

Fujinon EX 50mm f2.8とEL Nikkor 50mm f2.8とRodenstock YSARON 50mm f3.5を所有していますが、今回はRodenstock YSARON 50mm f3.5使っていきます。

このレンズ、実をいうとLUCKY QE69を某オークションサイトで中古購入した際におまけとしてついてきたもの。

案外綺麗な状態です。

私個人の印象ですが、Fujinon EX 50mm f2.8はほわっとした印象、EL Nikkor 50mm f2.8はカリっとした印象。

このRodenstock YSARON 50mm f3.5は上記2つの間くらいの印象です。

ほわっとカリっを併せ持つ、まさにおいしいたこ焼きのようなレンズですね~!

とにかく、なかなかによい結果を出してくれます。

なので、基本35mm判をプリントする際は、この引き伸ばしレンズでプリントしています。

引き伸ばしタイマー・変圧器

左:引き伸ばしタイマー 右:変圧器

引き伸ばしタイマーは露光時間を設定すると設定した時間だけ露光してくれます。

赤いボタンを押すと露光開始。設定した時間が経つと消えます。

変圧器は引き伸ばし電球の電圧と日本の一般的なコンセントの電圧の帳尻を合わせてくれます。

LPL イーゼルマスク

印画紙を固定しておく機材です。

私が使っているものは二枚羽根で、四切の印画紙まで使用できます。

このイーゼルマスクの使い方がわからなかったんです。

なんでって、余白が上下左右ばらばらになるんですもの。

余白と倍率に合わせて縦と横を何㎝にするかの兼ね合いが難しい。

印画紙は長方形なので、35mm判や120フィルムでも67判や69判なんかは案外ちょうどいい塩梅になったりしますが、66判はどうしても画像を真ん中にもってくるのが難しくどちらかの余白が大きくなってしまいがちです。

また、66判は小さい印画紙にプリントしてもかわいいですが、67判を小さい印画紙にプリントしたりしません。(テストプリントは小さい印画紙でやります。)

かわいさでいったら俄然66判ですし、原版も大きいのでもったいない気がして。

最低でも六切より大きいサイズでプリントしています。私個人の考えですが。

そこで、うまいこと説明できませんが画像が真ん中にくるよう計算してみました。

私の手持ちのカメラが35mm判、66判、67判なのでこの3つのみではありますが。

  • LPL イーゼルマスク(四切用)上での数値(単位:cm)
余白5mmの場合 35mm判 66判 67判
KG(縦:横) 9.2 : 14.2 9.2 : 11.7 9.2 : 12.875
大カビネ(縦:横) 11.7 : 16.8 11.7 : 14.25 11.7 : 15.75
六切(縦:横) 17.8 : 24.4 19.3 : 21.85 19.3 : 24.4
A4(縦:横) (※1)20 : 28.7 - -
小四切(縦:横) (※1)20 : 28.7 23 : 26.25 23 : 29.5
四切(縦:横) 22.04 : 29.5 24.4 : 26.95 24.4 : 29.5
余白15mmの場合 35mm判 66判 67判
KG(縦:横) 7.2 : 12.2 7.2 : 9.7 7.2 : 10.65
大カビネ(縦:横) 9.7 : 14.8 9.7 : 12.25 9.7 : 13.525
六切(縦:横) 16.15 : 22.4 17.3 : 19.85 17.3 : 22.4
A4(縦:横) (※1)18 : 27 - -
小四切(縦:横) (※1)18 : 27 21 : 24.25 21 : 27.5
四切(縦:横) 20.4 : 27.5 22.4 : 24.95 22.4 : 27.5

(※1)このプリント方法で使用できるA4の印画紙はありませんので、小四切または四切でプリントしカットしてA4にします。

※若干の誤差はご容赦ください。

  • サイズ毎の厚紙の幅(単位:cm)
余白5mmの場合 35mm判 66判 67判
KG - 3 1.825
大カビネ - 3.05 1.55
六切 2 3.05 -
四切 2.86 3.05 -
余白15mmの場合 35mm判 66判 67判
KG - 4 3.05
大カビネ - 4.05 2.775
六切 2.65 4.05 -
四切 3.5 4.05 -

※横線は厚紙が必要ないところ(縦:横の塩梅が比較的よいところ)。

※若干の誤差はご容赦ください。

35mm判をプリントする際の厚紙設置位置

66判・67判をプリントする際の厚紙設置位置

 

プリントするフィルムの縦横の比率に応じて、印画紙の縦横どちらに余白幅(5mm or 15mm)を設定するのか決まってきます。

これはフィルム1コマを最も無駄がないようプリントするためです。

例えば、35mm判だと縦の余白を上下15mmずつにすると横は印画紙に入りきれなくなり、結果フィルム1コマすべてを投影できなくなります。

なので、フィルム1コマを無駄を少なくプリントしたいのであれば厚紙を上に挟みます。

※トリミングしてプリントする際は話が変わってきます。

※上の画像の厚紙は全て余白15mmでプリントする場合の厚紙です。

このように固定し印画紙はこの厚紙の下にセットして露光します。

カラープリントなので真っ暗の中での作業ですが、慣れてくればなんてことはないです。

正直、イーゼルマスク無しでもプリントできます。

無い時は画用紙や厚紙で手作りしていましたが、感光したり境の部分がもやもやになったりしたので、こちらを入手しました。

やはりあれば便利です。

引き伸ばしルーペ Peak Ⅰ型

印画紙に露光する際に、像のピントを合わせるのに使用します。

ここから覗いてピントを合わせます。

モノクロ印画紙用のBGフィルター

 

詳しくはこちら

写真用バット・竹ピン

LIONのバットとプラスチックピン

LPLのバットと竹ピン

プラスチックのものが望ましいかと。ご存じかとは思いますが、金属系はおすすめしません。

私が使っているのは、四切はLPLのバット、六切はLION のバットを使用しています。

LPLのバットはいかにも頑丈です。LIONのバットは角を若干心配しています。

プラスチックのピンセットと竹のピンセット。

これで印画紙を挟み、薬品に印画紙を浸したり引き上げたりするのに使用します。

竹ピンは使っていくうちに、竹の部分が黒くなってきますがあまり気にしてません。

カラーではこの竹ピンは使用せず、プラスチックのものを使用しています。

普通に使えるのかもしれませんが、念には念をいれて。

今のところは問題なし。

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その他

タイマー

100均です。時間が計れればよいので。

暗闇で見失わないように蓄光シールを貼っています。

一応、フィルムや印画紙に当たらぬよう自分なりに気を付けて作業しているつもりなので、今のところ蓄光シールでフィルム・印画紙を感光させたことはありませんが、もしかすると感光する恐れがあるのでご注意ください。

温度計

アナログですが、ガラス製なので薬品には強いのではないかと。

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薬品 富士 CP-47L

左:発色現像スターター(P1-S) 右:発色現像補充液(P1-R)

漂白定着補充液(P2-R) 左:A液 右:B液

 

処理液の作成

メーカー推奨の分量で作っていきます。

  • 発色現像液
  1L 2L 3L
P1-S 100ml 200ml 300ml
P1-R 300ml 600ml 900ml
600ml 1200ml 1800ml
  • 漂白定着液
  1L 2L 3L
P2-R A液 250ml 500ml 750ml
P2-R B液 250ml 500ml 750ml
500ml 1000ml 1500ml

プリントを始める時に考えていたのが、全て純正で現像・プリントしたいということです。

つまり、使用するフィルムが富士であれば、フィルム現像も富士の薬品、プリントも富士の薬品で行うということです。

当時はカラーネガフィルムの現像はまだだったのでお店にお願いしましたが、とりあえずプリントだけでもと思い、自分なりに検討した結果、CP-47Lという薬品を使ってみようとなったわけですねー!思い立ったが吉日であります。

しかしながら、このCP-47L販売終了してしまいました。後継品が出ているようです。CP-46X 低補充タイプ。

印画紙 FUJIFILM フジカラープロフェッショナルペーパー Pro-G 四切

Gはグロッシーで光沢紙の意味。以前は他にも種類があったのですが、今もまだあるのかは分かりません。

モノクロだとまだまだ選択肢はありますが、カラーの印画紙はあまり選択肢がないように感じます。

いい印画紙なので販売終了はしてほしくないですが。

プリント手順

セッティング

引き伸ばし機 カラーヘッド

このダイヤルの設定は最初は見様見真似でした。

メーカーページや他の方のウェブサイトを見て、ああでもないこうでもないの繰り返しです。

正直、カラーのプリントをするにあたってまず知っておかなければならないのが、光の三原色(赤・緑・青)と色の三原色(シアン・マゼンタ・イエロー)が関係してくるということです。

私自身も全て理解できているわけではないのですが、そういう色や法則があるということは少し頭の片隅にでもおいておいた方がいいかもしれません。

パソコンなどで画像編集する際に役立つ知識もありますし、実際の作業にも繋がる部分もありますので、今後自宅でカラープリントをされる予定があるのであれば発展させたプリントができるようになるかもしれません。

少し話が逸れましたが、話を戻します。

もともと現像後のネガフィルムはオレンジっぽい色をしてますよね。

このオレンジを引いてあげる必要があるんです。

上の画像のダイヤルは(シアン:0 マゼンタ:50 イエロー:60)となっています。

だいたいこれくらいかな~という感じです。

もちろん自分で現像したネガが、イエローが強かったらイエローを引いてあげなければなりません。

少しややこしいのが、例えばイエローの数値を増やすと青い写真になります。つまり、イエローが引かれるんです。

もうお分かりかと思いますが、このダイヤルは引いてあげる色の量を決めるダイヤルです。

あくまで、私なりの解釈ですが。

一応、対応表みたいなの作りました。

C(シアン)の数値を+で赤強く -でC(シアン)強く

M(マゼンタ)の数値を+で緑強く -でM(マゼンタ)強く

Y(イエロー)の数値を+で青強く -でY(イエロー)強く

※引き伸ばし機においてのお話ですので悪しからず。

引き伸ばしレンズ

引き伸ばしレンズセット完了!

イーゼルマスク

使用フィルムは35mm判、プリントしていく印画紙は四切、余白は15mmでいきます。

なので、イーゼル上の縦:横は20.4㎝:27.5㎝のところに合わせます。

3.5㎝の厚紙を挟んで、とりあえずイーゼルマスクの設置は完了です。

ネガフィルム

LUCKY QE69の付属品的立ち位置だと思っているので、使用する機材のところでは特に取り上げませんでしたが、プリントしたいネガフィルムを挟むネガキャリアなるものが存在します。

66判用や67判用もありますが、今回は35mm判用を使っていきます。

チリやほこりがついていないかしっかり確認しておきましょう。

セット完了!

薬品

バットに薬品を入れていきます。

白バットに発色現像液、赤バットに水、クリーム色バットに漂白定着液をい入れていきます。

発色現像液の後に水洗用の水を設けたのは、発色現像液を漂白定着液にできる限り持ち込まないため。

何度かプリントした際、発色現像液をピンセットで持ち上げて印画紙についた薬品を落としていると、その時に残っていたであろう薬品の線ができたので、発色現像後は薬品をきるのは簡単に終わらせてすぐに水洗するようにしました。

液温が低い時にこの現象がみられるので、冬場は暗室作業される際は液温の管理は、より気を付けた方がいいかもしれません。

てことで、完了!

その他

タイマーは発色現像も漂白定着も1分でいきます。

液温は可能な限りですが、35~38℃をキープでやってみたいと思います。

露光準備

倍率を設定

左側にあるレバーを握って印画紙に応じた高さを決めます。

高くなればなるほど投影される像は大きくなり、必然的にプリントのサイズも大きくなり、それに合った印画紙が必要になってきます。

毎回プリントする際、これをするのも億劫なので、よい兼ね合いの高さを記録しておくといいかもしれません。

ピント合わせ

右側に大きなダイヤルと白い点のついた小さいダイヤルがあるのですが、大きいのが大幅な調整をする時、小さいのが微調整をする時に使います。

蛇腹が伸びレンズが繰り出します。

引き伸ばしルーペ Peak Ⅰ型で投影された像のピントを合わせていきます。

露光

さてさて、ようやくここまでこぎつけました。いよいよ印画紙に露光し、薬品に浸し現像処理していきます。

一応、今回の細かい設定を載せておきます。

フィルム 35mm判

カラーダイヤル シアン:0 マゼンタ:50 イエロー:60

レンズ絞り f8

露光秒数 2秒

発色現像液の液温 35~38℃

漂白定着液の液温 30℃前後

薬品はともに2Lで浸す時間は1分

印画紙は四切

この工程は真っ暗での作業です。

設定も若干変えてのプリントもやってみました。

それはこの後に紹介します。

仕上がりとまとめ

上の写真はどちらも、
シアン:0 マゼンタ:50 イエロー:60
レンズ絞り f8
露光秒数 2秒
まずまずですかね。改良の余地はありますが、とりあえずプリントはできました。
①が最初にプリントしたもので、②が次にプリントしたもの。
②は若干、液の残影が。

③シアン:0 マゼンタ:50 イエロー:80  レンズ絞り f8  露光秒数 2秒

お店プリント

 

③はイエローを80にしてプリントしてみました。結構青くなっています。

それ以前の問題としては、ネガ自体が相当アンダーでしたね。

もう少し撮影の技術も知識も勉強する必要があるようです。

イーゼルマスクに改めてセットしてみました。


処理を見直す必要はありますが、こうしてプリントしてみると、「写真っていいな。」と改めて感じます。

他にもお店でプリントしてもらった写真。

風景自体が綺麗ですし、なによりおもしろい。

この時の自分の視点が垣間見れて、懐かしいし照れくさいですね。

ちなみに、今回使用したカメラとレンズは当時使っていたCanon eos-1v・EF24-105mm f4l is usm。

フィルムはFuji Superia premium 400です。

またプリントします。

次はKodak エクタカラー RA-4でやってみよう!

フジフイルム FUJIFILM フジカラー SUPERIA PREMIUM 400 36枚撮



 

 

  • この記事を書いた人

けーすみ

フィルムカメラ・フィルム写真が好きで、自宅に暗室を作りフィルム現像からプリントまでやっています。 カメラ・レンズや自宅暗室などの作例をメインに載せています。 とにかく「撮ってみて、焼いてみて。」の試行錯誤の日々です。 epilogとは「詩歌・演劇などの終わりの部分のこと。」を表す言葉で、一種の終活のように私自身がこれまで撮った写真や書いた詩、感じたモノや触れたコトに対する思いを、ブログとして綴っていこうと考えてepilog.というタイトルにしました。 私のやってきたこと・今やっていること・これからやっていくことが読者の方に少しでも有益となれば幸いです。

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