【RA-4 リバーサル②】各メーカーのモノクロ印画紙現像液ごとの色味の違い・リバーサルフィルムからよりよい自家プリントを創造するために


いよいよこの「リバーサルフィルムを自家プリントする」という記事もepilog。

自己満ですが、カラスヘビ写真を量産していた最初に比べたら雲泥の差で、それなりの写真をプリントできるようになってきました。

今回はできる範囲で最良のプリントを創造していきたいので、消耗品・労や時間は惜しみませんよ!

それではいってみましょう!!

よりよいプリントのために

RA-4 リバーサル プロセス

なんどもおさらいしますが、このプリントを行うにあたりRA-4 リバーサル プロセスは絶対に外せないプロセスなので。

モノクロ印画紙現像液 1分 約20℃

停止液 約30秒 適当

ソラリゼーション

ここからはライトをつけて作業します

水洗 約1分 しっかり水洗する

RA-4 発色現像液 45秒~1分 約35~38℃

RA-4 漂白定着液 45秒~1分 約35~38℃

水洗 約2~3分

乾燥

前回プリントから感じたこと

今回の検証点は3つ

  1. 使うモノクロ印画紙現像液で仕上がりが変わってくるのか?処理液の状態(劣化など)が問題なのか?
  2. もし変わってくるのであれば、各メーカーのモノクロ印画紙現像液ごとの色味の違いと、どのモノクロ印画紙現像液がこのプロセスにおいて扱いやすく適しているか?
  3. また、それぞれのモノクロ印画紙現像液で仕上がりの色味が異なるのであれば、その色味はカラーダイヤルで調整できる範囲なのか?

です。

とにかくやってみないとわからないということで。

早速、実践に移りたいと思います。

実践

準備するもの

機材はカラープリント①で使用したのと変わらないので、そちらをご覧あれ~!

アナログプリントの作例見本
【カラープリント①】 自家プリントにおける機材・薬品の紹介、プリント手順と作例

水仙が咲き、菜の花が咲き、そして桜が咲き始めました。 熊本にも高森峠千本桜、市房ダム、立岡自然公園な ...

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薬品

薬品だけ紹介していきます。

今回試していくモノクロ印画紙現像液はのこの3つ。

  • Fuji コレクトールE

もはやお馴染み。

メーカー推奨の原液 1 : 水 1で作っていきます。

1L作成。


  • ILFORD MULTIGRADE DEVELOPER

原液 1 : 水 9

1L作成。


  • ILFORD JAPAN BW PAPER DEVELOPER

原液 1 : 水 9

1L作成。

今回モノクロ印画紙現像液に関しては期限切れや使い回しは無しで、必要な新しい薬品は購入しました。

全て新たに作って半日ほど液を落ち着かせてプリントに臨みます。

データを取りまくるです~。

その他の薬品は前回と同じなので省きます。

印画紙

  • Fuji CA 英文オランダ製 102×186m(光沢)

前回が六切とKGサイズの露光時間が混同してわかりにくかったので、今回はこの印画紙のみでプリントしていきます。

毎度です。写真創庫さんより。

さてさて、準備は整いました。

いざっ!!

プリント

上段:Fuji コレクロールE 中段:ILFORD MULTIGRADE DEVELOPER 下段:ILFORD JAPAN BW PAPER DEVELOPER

 左と真ん中の2枚は全く同じ露光時間・絞り・カラーダイヤルの値でプリントしたもの。

各メーカーのモノクロ印画紙現像液を、推奨の作り方で新しく作り直し、半日ほど落ち着かせたものを処理液として使用しました。

仕上がりはほぼ同じに見えます。カラーダイヤルの効果も、大きな違いはなく出ています。

モノクロ印画紙現像液での仕上がりの違いはたいしてないようですね~!

早速、当てが外れました!!笑

右はそれぞれ露光時間とカラーダイヤルの値に変化をつけてプリントしてみました。

細かくみていきます。

Fuji コレクトールE

  露光時間 絞り C : M : Y ソラリゼーション
上段左 3秒 f8 0 : 0 : 0 LEDのライト下で1分
上段中 3秒 f8 0 : 0 : 0 電球色のライト下で1分
上段右 2秒 f8 0 : 0 : 0 電球色のライト下で1分
下段左 1秒 f8 0 : 0 : 0 電球色のライト下で1分
下段中 1秒 f8 0 : 20 : 30 電球色のライト下で1分
下段右 1秒 f8 0 : 80 : 90 電球色のライト下で1分

※液温は26~28℃です。

ソラリゼーションの部分が若干気になっていたので、合わせて検証していきます。

LEDのライト下か電球色のライト下か。

これも大した差はないことがわかりました。

次は露光時間について。

前回のプリントでは3秒が適正露光時間だったのに、今回3秒でプリントしたら白く飛びました。

処理液に翻弄されっぱなしです。

まぁ最初から新しく作りなさいよ!って話なんですが!!横着するといけませんね~!!!笑

今回は概ね整った状態でプリントしてますので確かかと。

下段のみピックアップしてみました。

  露光時間 絞り C : M : Y ソラリゼーション
1秒 f8 0 : 0 : 0 電球色のライト下で1分
1秒 f8 0 : 20 : 30 電球色のライト下で1分
1秒 f8 0 : 80 : 90 電球色のライト下で1分

左と中の写真は3つのモノクロ印画紙現像液とも大差ないことがわかったので、ここで着目するのは右の写真。

RA-4 リバーサル②でも書いたように、カラーダイヤルの値を増やしたら増やした分だけ、その色が足されていることがわかります。

カラーダイヤルの仕組みは、ざっくりいうとカラーダイヤルの値を増やすとその色のフィルターもより色濃くかかるというような仕組みなので、その分の露光時間も足してあげる必要があるようですね~!

この点はネガフィルムをプリントする時と似たような感じです。

ILFORD MULTIGRADE DEVELOPER

  露光時間 絞り C : M : Y ソラリゼーション
1秒 f8 0 : 0 : 0 電球色のライト下で1分
1秒 f8 0 : 20 : 30 電球色のライト下で1分
2秒 f8 0 : 80 : 90 電球色のライト下で1分

ここでも、右の写真に着目します。

カラーダイヤルの値はFuji コレクロールEの右の写真の値と同じですが、露光時間だけ2秒に伸ばしてみました。

リバーサルフィルムをプリントする場合は、露光時間を長くすれば明るくなりますので。

ですが、上の写真でもわかるように明るくはなりましたが、よりマゼンタとイエローが悪目立ちしている感じがします。

ここで、私が感じたのはネガフィルムをプリントするよりリバーサルフィルムをプリントする方がややこしいということです。

どういうことかといいますと...

ネガフィルムプリントのイメージ

最初、[露光時間 1秒  絞りf8  C 0 : M 80 : Y 90]でプリントしました。

「色はいいんだけど、少し像が薄いな。」と思い、次のプリントは露光時間を2秒にしました。

※あくまでネガフィルムプリント時のイメージですので実際の数値とは関係ありません

上手くプリントできました。

ポジフィルムプリントのイメージ

最初、[露光時間 1秒  絞りf8  C 0 : M 80 : Y 90]でプリントしました。

「色はいいんだけど、少し像が黒いな。」と思い露光時間を2秒にしました。

左:Fuji コレクトールE 右 右:ILFORD MULTIGRADE DEVELOPER 右

上の画像のような写真になりました。

ネガフィルムをプリントする際の露光時間を「明暗(全体的な像の濃淡)を調節する。」というイメージだとすると。

リバーサルフィルムをプリントする際の露光時間は「白と黒の量を調節する。」というイメージに近いような気がします。

全く露光しない(露光時間0秒)を真っ黒とし、そこへ像に沿って白が足されていく感じ。

なので、1番最初に[露光時間 1秒  絞りf8  C 0 : M 0 : Y 0]でプリントした時のシアンよりというか青っぽ写真に、カラーダイヤルのM(マゼンタ) 80 :とY(イエロー) 90、それ+露光時間の白が足されてプリントされるイメージなので、こういう仕上がりになるんじゃないかなと、勝手に私は思っています。

ILFORD JAPAN BW PAPER DEVELOPER

  露光時間 絞り C : M : Y ソラリゼーション
1秒 f8 0 : 0 : 0 電球色のライト下で1分
1秒 f8 0 : 20 : 30 電球色のライト下で1分
1秒 f8 0 : 50 : 60 電球色のライト下で1分

左と中は他のモノクロ印画紙現像液と同様の仕上がり。

右の写真は本日プリントした全ての写真を鑑みて、ザ・ニュートラルを狙ってプリントしてみました。

少しマゼンタが強かったようなので。

  露光時間 絞り C : M : Y ソラリゼーション
1秒 f8 0 : 40 : 60 電球色のライト下で1分
1秒 f8 0 : 30 : 60 電球色のライト下で1分
ここからは刻んでいきます。
  露光時間 絞り C : M : Y ソラリゼーション
2秒 f8 0 : 30 : 60 LEDのライト下で1分
1.6秒 f8 0 : 20 : 55 LEDのライト下で1分

露光時間 1.6秒 絞り f8 C : M : Y 0 : 20 : 55 ソラリゼーション LEDのライト下で1分

今までの集大成の一枚です。

まだまだ改善の余地はありそうですが、個人的にいい感じにプリントできたと思います。

RA-4 発色現像液に浸すとこんな感じ。

まとめ

いやーいろいろ考えてやってみましたが、案外できるもんですね~!

今までできなかったことができるようになると清々しいですね~!!

他のコマをプリントしてみたら、またいろいろと問題発生すると思われますが。

とりあえずは着地しました。

今回のプリントで重要な部分を抜粋しておきます。

ポイント

  • 処理薬品は期限切れのものや劣化しているものは避け、新しく作った場合は少し薬品を落ち着かせて使用する。(当然といえば当然)
  • 停止処理後のソラリゼーションは勇気を出してライトを点けましょう。今回私の自宅暗室の設備範囲内で試しましたが、ライトの明るさや色は関係ないようです。
  • 停止処理後の水洗をしっかりしましょう。RA-4 発色現像液に停止液をできるだけ持ち込まないように。
  • 露光時間は短いと黒い仕上がりになり、長いと白い仕上がりになる。ネガフィルムをプリントする時とは逆なので注意が必要。
  • カラーダイヤルも増やした値だけ色が足されていくため、ネガフィルムをプリントする時とは逆なので注意が必要。

カラーダイヤルと露光時間の兼ね合いが難しいところです。

ネガフィルムのプリントと同様に、カラーダイヤルと露光時間の兼ね合いの最適解は何度もテストプリントを重ねて、自分好みの色を見つけ本番のプリントに臨むことをおすすめします。

また、私が今回使用した引き伸ばし機はLUCKY QE69という引き伸ばし機です。

詳しくはこちらの記事に書いていますので、そちらも見て頂けたらありがたいです。

自宅暗室手帖 暗室必須アイテム 引き伸ばし機について

ここでは自ら写真を手焼きするにあたっての重要な役割と自宅暗室の多大なるスペースを担う引き伸ばし機につ ...

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他にも、LPL、オメガやダースト、ベセラーなど多くの引き伸ばし機が存在します。

そういった他の引き伸ばし機と比較すると、カラーダイヤルの値に多少違いがあるかもしれませんので、その点はご了承下さい。

ぶっちゃけ、このRA-4 リバーサル②の記事だけ見れば、リバーサルフィルムを引き伸ばし機で自家プリントできると思います。

なので「過程はいいから、早くプリントがやりたいの!」って方はこの記事からどうぞ~!!

まぁここにたどり着くまでにいろいろと紆余曲折あったので、その過程を知りたいという方は前回記事を見て頂けると嬉しいです。

リバーサルフィルムで撮影した写真を自家プリントしていきます。
【RA-4 リバーサル①】リバーサルフィルムを自家プリントする手順と作例・初挑戦してみた感想

私の写真の最終的な着地点はプリントだと以前の記事で書かせて頂きました。 なので、もっぱらネガフィルム ...

続きを見る

引き続き、このプロセスでのプリントは続けていきますので、何か気になること又は作業の改善点などありましたらご教授頂けるとありがたいです。

では、長々と書かせて頂きましたが、私、ここいらで、一旦Break!!



 

 

  • この記事を書いた人

けーすみ

フィルムカメラ・フィルム写真が好きで、自宅に暗室を作りフィルム現像からプリントまでやっています。 カメラ・レンズや自宅暗室などの作例をメインに載せています。 とにかく「撮ってみて、焼いてみて。」の試行錯誤の日々です。 epilogとは「詩歌・演劇などの終わりの部分のこと。」を表す言葉で、一種の終活のように私自身がこれまで撮った写真や書いた詩、感じたモノや触れたコトに対する思いを、ブログとして綴っていこうと考えてepilog.というタイトルにしました。 私のやってきたこと・今やっていること・これからやっていくことが読者の方に少しでも有益となれば幸いです。

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